大学院の授業科目の概要
数学分野では算数・数学に係わる実践力を向上させるような教育プログラムを用意しています。 大きく分けて,学校支援プロジェクト科目と専門(プロフェッショナル科目)の2種類を用意しています。 いずれも,現職教員の院生と学部卒の院生とが一緒に履修し,グループでの探究活動やワークショップ等による学び合いを取り入れ,院生の主体性とともに対話を大切にしています。
学校支援プロジェクト科目
数学分野では,「学校支援プロジェクト科目」を通し,主に算数・数学科を中心とする学校現場における喫緊の教育課題の解決に参画します。 「学校支援プロジェクト科目」についてご紹介します。
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学校支援フィールドワーク
勿論,このような実践的教育活動を一人で行うわけではありません。現職院生,学卒院生,そして大学教員が1つのチームとなって協働で取り組みます。
具体的には,実際の学校現場で,年間150時間の学校実習の中で行います。通常,約4か月間,学校現場では2学期になりますが,この学校現場をフィールドとして行う活動を「学校支援フィールドワーク」といいます。これが教職大学院における「実習科目」に相当します。
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学校支援課題探究リフレクション
この科目履修と並行して,学校現場におけるフィールドワークでの実践や観察結果等を大学で振り返って検討する科目が用意されています。これが「学校支援課題探究リフレクション」です。
このように学校現場における教育課題を解決する活動は,これら2つの科目を同時に履修することで,学校現場における教育実践と大学における理論に基づく検討を交互に行いながら進められます。
より具体的な取組内容としては,算数・数学科を中心として,「主体的・対話的で深い学び」を引き出す新しい授業デザインの提案や,それを促す新しい教材の開発やICTの効果的な活用方法の提案,さらに,授業の効果や改善への手がかりを探るための授業分析などを行います。 また,全国学力学習状況調査等の学力テストの分析や特に算数・数学を苦手としている児童・生徒の授業中の支援や放課後学習支援なども行います。 特に現職院生は,算数・算数・数学の公開授業研究会に向けた取組の支援や若手教員の授業力の向上の取組支援なども行います。
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学校支援課題探求プレゼンテーション
こうした取り組みによって得られた成果は,お世話になった学校現場の先生方に還元します。
そのために,教育実践研究報告としてまとめ,各学校において,できるだけ分かりやすく,プレゼンテーションをします。これが「学校支援課題探究プレゼンテーション」です。
このように「学校支援プロジェクト」は,相互に関連する3つの科目,「学校支援フィールドワーク」,「学校支援課題探究リフレクション」,そして「学校支援課題探究プレゼンテーション」で構成された実践的カリキュラムを履修することで実現されます。
専門(プロフェッショナル)科目
次に専門(プロフェッショナル)科目についてご紹介します。専門(プロフェッショナル)科目には 「小中連携算数・数学科の教材づくりの理論と実践」,「中高連携数学科の理論と実践」,「算数科・数学科におけるICT活用」,「教科内容構成「数学」の理論と実践」, 「算数・数学科の授業づくりの理論と実践」の5つが用意されています。
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小中連携算数・数学科の教材づくりの理論と実践
附属小学校の掲示板「ポプラ算額道場」に掲示する問題を開発する実践として,現職院生と学部卒院生が協働で,子どもを惹きつけ,数学の本質的な見方・考え方に迫りながら,その面白さを体験できる問題を探究します。
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中高連携数学科の理論と実践
中学校数学科と高等学校数学科との連携に焦点を当て,中学校数学と高校数学とを関連させた教材の数学的背景を深化するとともに,それらの数学的背景をもとに教材研究をし,授業実践を行うための力量を高めます。
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算数科・数学科におけるICT活用
算数・数学の授業でのICT活用を数学的視点と数学教育的視点の双方から考えます。
そのためにまず受講者自身がICTを利用した数学的活動を経験し,次にそうした経験をふまえてICTを通して学習者の理解を促す教材のあり方を考えます。
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教科内容構成「数学」の理論と実践
算数,中学校数学,高等学校数学の教材に,代数学,幾何学,解析学,及び数学の境界領域に係る数学から接近し,更なる教材研究と指導法の検討を行います。
アクティブラーニングによって授業を進めます。
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算数・数学科の授業づくりの理論と実践
算数・数学の授業実践を評価し,自律的に改善するのに必要な「授業の見方」をより豊かにするために,異なる立場から実践を 意味づける考え方を学ぶとともに,各自の授業づくりに向けた課題等の探究活動を行います。